同和(人権)教育実践の具体的なあり方について

閲覧数4,136
ダウンロード数88
履歴確認

    • ページ数 : 2ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    〔意義・歴史〕
    日本における人権教育は、しばしば同和教育を中核にとらえられてきた。1953年に教育関係者によって全国同和教育研究協議会が結成されるに及んで、同和教育という名称が定着するようになった。全国同和教育協議会が結成され、活動を開始した1950年代当時、敗戦直後の日本は社会全体が戦争の傷あとに覆われていたため、部落と部落外の格差は表面的には見えなくなっていた。しかし、復旧活動がすすみ、しだいに景気が回復すると、そこから取り残されるかたちで再び格差が目に見えた。厳しい生活状況の中で、それは、児童の長期欠席・不就学というかたちであらわれた。それらの最大の原因は、家庭の貧困であったとされるが、学校側の教育方法にも問題があったと考えられる。1960年代に入り、ようやく長期欠席・不就学は解消へ向かった。その背景としては、部落解放運動と同和教育運動が連携して、教育条件の整備を要求し、実現していったことがあげられる。しかし、長期欠席・不就学が解消されていくなか、長欠生の戻ってきた学校で、子どもたちの進路をめぐる問題、非行問題という新たな問題がもちあがった。この二つにはともに、1960年代の高度経済成長と連動して展開されてきた受験競争と、その結果としての切り捨て教育・落ちこぼし教育に根本的な原因はあったと思われる。だが、「同和加配教職員」の制度化によって、“補充学級”や“促進指導”が可能となり、「学力保障」さらには「進路保障」へ向けての活動が開始されることになった。こうして、奨学金制度の充実とも相まって、部落の子どもの高校進学率は飛躍的に向上した。1970年以降の特徴の一つに、同和教育における“教育内容の創造”がある。その背景には、60年代からの宿題であった「進路保障」がある。そのためには「学力保障」が必要であり、さらには、各教科で「学力」をいかにつけるかという課題がクリアされなければならなかった。とはいえ、同和教育の実践に、差別からの解放という大きな目標がある限り、ここでいう「学力」とは、単なる“受験の学力”ではなく、“人間解放につながる学力”でなければならない。1971年の第23回全同教大会で提起された「四認識」は、そうした“人間解放につながる学力”をみすえたものであった。そのためには、豊かで科学的なものの見方ができるだけでなく、行動や実践につながっていくような教育内容でなければならなかった。そのためには、総合的な認識をバラバラにしている従来の教科・領域の枠を超え、新たな枠組みを設定する必要があった。こうした問題意識から、「言語認識」・「社会認識」・「自然認識」・「芸術認識」という「四認識」の構造が設定された。現在では、「四認識」の提起を継承するものとして、1990年以降に広がりつつある「人権総合学習」がある。98年末に告示された新学習指導要領が、「総合的な学習の時間」を新たに設定、2002年からの実施を求めたこともあって、「人権総合学習」の実践が全国的に注目されている。
    〔教育実践〕
    同和教育にとって人間関係づくりや仲間づくりは、その出発点の頃から大切にされてきたことである。そこで、同和教育における人間関係づくりの基本的な二つの側面である、生活をつづりあうことと、組織していくことに着目する。その具体的な方法として、学級を開いたその日に、生活ノートと班ノートという二冊のノートを配る。生活ノートは個人もちのノートで、担任との交換ノートという性格をもたせる。もう一方の班ノートは、同じ班のメンバーで回すグループ交換ノートというかたちにする。どちらのノートも内

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    〔意義・歴史〕
    日本における人権教育は、しばしば同和教育を中核にとらえられてきた。1953年に教育関係者によって全国同和教育研究協議会が結成されるに及んで、同和教育という名称が定着するようになった。全国同和教育協議会が結成され、活動を開始した1950年代当時、敗戦直後の日本は社会全体が戦争の傷あとに覆われていたため、部落と部落外の格差は表面的には見えなくなっていた。しかし、復旧活動がすすみ、しだいに景気が回復すると、そこから取り残されるかたちで再び格差が目に見えた。厳しい生活状況の中で、それは、児童の長期欠席・不就学というかたちであらわれた。それらの最大の原因は、家庭の貧困であったとされるが、学校側の教育方法にも問題があったと考えられる。1960年代に入り、ようやく長期欠席・不就学は解消へ向かった。その背景としては、部落解放運動と同和教育運動が連携して、教育条件の整備を要求し、実現していったことがあげられる。しかし、長期欠席・不就学が解消されていくなか、長欠生の戻ってきた学校で、子どもたちの進路をめぐる問題、非行問題という新たな問題がもちあがった。この二つにはともに、1960年代の高度...

    コメント20件

    nagabuti 購入
    saikou
    2006/12/10 0:36 (17年11ヶ月前)

    papaedon1976 購入
    ありがとうございました。
    2007/01/06 17:11 (17年10ヶ月前)

    tanntannroro 購入
    とても暖かい内容で良かったです。
    2007/01/08 23:12 (17年10ヶ月前)

    ojiban 購入
    参考になりました。
    2007/01/24 8:33 (17年10ヶ月前)

    m0m0chan2000 購入
    参考になりました。
    2007/02/08 15:02 (17年9ヶ月前)

    nis686 購入
    ありがとうございます。
    2007/02/10 10:08 (17年9ヶ月前)

    ぷるぷる 購入
    ありがとうございます。
    2007/02/14 15:09 (17年9ヶ月前)

    aquiles 購入
    レポート作成の参考になり、非常に役立ちました。
    2007/02/16 17:15 (17年9ヶ月前)

    scoot 購入
    ありがとうございます。参考にさせてもらいます
    2007/02/28 2:35 (17年9ヶ月前)

    ケスト 購入
    参考にさせていただきました。ありがとうございました。
    2007/03/07 13:05 (17年8ヶ月前)

    emita111 購入
    参考になりました
    2007/03/20 23:30 (17年8ヶ月前)

    0928kouki 購入
    参考になりました
    2007/04/12 23:26 (17年7ヶ月前)

    sasaki2473 購入
    参考になりました
    2007/04/28 10:35 (17年7ヶ月前)

    tomitomu 購入
    よい参考資料になりました。ありがとうございます。
    2007/05/01 21:13 (17年7ヶ月前)

    bec0068 購入
    とても参考になりました。
    2007/05/07 21:12 (17年6ヶ月前)

    keyakix 購入
    レポート資料としてだけでなく、将来に向けての参考になりました。
    2007/05/08 14:58 (17年6ヶ月前)

    shima777 購入
    分かりやすくて参考になりました
    ありがとうございます
    2007/05/19 9:15 (17年6ヶ月前)

    suzu 購入
    分かりやすくて参考になりましたありがとうございます
    2007/06/13 18:01 (17年5ヶ月前)

    mimimumu 購入
    後半は今後の参考になりそうです。
    2007/06/16 17:40 (17年5ヶ月前)

    akki5_99 購入
    参考になりました
    2007/06/16 19:02 (17年5ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。