慶應通信経済学部の最大の難関とされる経済史の科目試験対策の頻出過去問題、予想問題集の第一弾です。私自身も経済史に苦戦し、計八回受け、あと卒業まで、経済史の単位だけという状況でやっと合格しました。この問題集は、過去問だけではなく、二年間に渡る経済史対策の中で私が作成した予想問題を取り入れました。過去問は、頻出回数が多い問題を優先的に採用し、過去問、予想問題ともに全て解答付きです。第一弾は、教科書第一章、第二章、第八章、第九章の計13問(内、予想問題3題)をまとめました。頻出の中世、各国の工業化は問題数が多くなってしまったので、第二弾、第三弾にまとめてあります。この問題集を作るに至っては、教科書だけではなく、以下の本を参考にしました。
ヒックス著、新保博訳(1995)『経済史の理論』日本経済新聞社
馬場哲・小野塚知二編(2001年)『西洋経済史学』東京大学出版会
前者は頻出の工業化、中世について丁寧に解説されており、後者は、教科書で言及されない箇所が出題される傾向がある近代の経済史について詳細に解説されているので、教科書の内容をほぼ終えてしまった人には試験対策におすすめの本です。
予想問題3 問題数計13
第一章 経済史とは何か 問題数2
経済史と歴史学の違い 【11年科目試験類似】
経済史と歴史学の違いとは、歴史学は個別で特殊な内容を扱うのに対し、経済史は一般的で法則的なものを扱うことに特徴がある。例えば、歴史学では、フランス革命時の、ルイ16世のように、特定の偉人の特定の行動を対象とするが、経済史では、グレシャムの法則や限界効用逓減の法則のように、一般の人々が、平均的にどうのように振舞うかを、一般化、法則化することを対象としている。
市場経済と非市場経済【予想問題】
市場経済とは、非人格性、計算可能性の二つを持つことに特徴がある。例えば、市場では、商品の価値は、その価格によって決定され、売るものと買うものの身分や人格に左右されることはない。また、市場においては、全てのものに価格がつけられているため、たとえ、人間でさえも、労働力という指標で価格付けされ、それによって、個人は、価格を元に自己の利益を最大化できる。一方、非市場経済では、それらが制限される。慣習が支配する慣習経済では、慣習により、利益の上がらない商品を生産したり、...