哲学概論Ⅰ
近代哲学に現われる「人間中心主義」について説明しなさい。
ポイント
近代哲学は、ルネサンスを転機として、神中心から人間中心へと、信仰から知識(科学)展開することになる。
近代哲学においては、人間の自由が尊重されて、人間の理性能力や経験を頼りとして知識が探究されることになる。
キーワード
ルネサンス、主観主義、デカルト、カント、ベーコン
参考文献
「哲学・思想辞典」 岩波書店
「哲学辞典」 平凡社
近代哲学に現われる「人間中心主義」を説明するには、中世の人々が抱いていた思想や価値観と比較する必要がある。そこで、まず初めに、中世の人々が抱いていた思想や価値観について説明する。
中世の人々が抱いていた思想や価値観の柱は神であり、それは日常と切り離せないものであった。西欧中世の教会・修道院の学校(スコラ)の学者・教師たちによって担われた学問である「スコラ学」では、以下のような二つの考え方があった。一つ目は、万物には魂が内在しており、それが物質を動かす原動力になっているというものである。この魂は、精神から天使を経て、最後には神に至ると考えられていた。二つ目は、神によって...