持ち込み可のテストだったために作成した約3年分の過去問の模範解答です。
社会政策論の誕生をめぐって古典学派と新歴史学派について説明しなさい。
歴史学派は、古典学派の対立物として誕生した。まず始めに古典学派について説明する。古典学派は数少ない前提から出発し、演繹法を取り入れ、人間社会に法則の存在を引き出しているとした。古典学派であるアダム・スミスは、人間は様々な行動をとるが、その動機は自利心・自愛心という。人間社会にも自然界と同じように法則があること(神の見えざる手の導き)が存在していることから、自利心・自愛心に基づく様々な行為を放任しておいたとしても社会の秩序が乱されることはないというのである。それを知らずに、国家が経済活動に規制や干渉するのは、社会の沈滞に繋がるという。
これに対し歴史学派は、古典学派の自利心・自愛心以外の動機の他に数多くの動機がありえると主張する。例えば、虚栄心、名誉心、仕事によって与えられる快楽、義務の観念、憐憫、慈悲心、同胞愛、又は単なる習慣等が挙げられる。彼らは古典学派の演繹法を否定して、帰納法を取り入れた。また、歴史学派は、経済現象は国が異なり時代が存在するからといって、経済現象の法則が存在するという古典学派の見解は誤り...