市場機構の役割と問題点について述べ、政府の役割(経済政策の必要性)について論ぜよ。
ある商品の供給が需要を上回ると、その商品の価格は低下する。これに対し、需要が供給を上回っていると、その商品の価格は上昇する。生産者は価格の動きを見極め、生産量を調整することで、需要と供給はバランスに向かう。これを市場メカニズムという。市場メカニズムは、資源を最適配分していると言えるだろう。
しかし、市場メカニズムが調整できるものは、市場で取引されている商品の需給に限られる。例えば、空気や海・川の水などの自然環境や町並み、景観などの価値は市場メカニズムでは調整されない。また、医療や警察、教育など、直接サービスを受ける人だけではなく、社会全体が安心や安全などの間接的なメリットを受ける公共サービスにおいても市場メカニズムは働かない。市場メカニズムを過信し、人々の自由な経済活動を認め過ぎていると、環境破壊が進んだり、公共サービスが不十分になるという問題点がある。しかし、例えば環境問題にも市場メカニズムを取り入れようと、京都議定書で温室効果ガスの排出取引が定められたりと、従来市場メカニズムが働かなかった分野...