終身雇用の現状について、その歴史的経緯をふまえて論じて下さい
終身雇用とは、正社員として採用された場合には、定年まで雇用関係を継続するという雇用体系のことである。労働契約に明記されている訳ではなく、経営上の困難や従業員に過失がない限り、雇用を継続するという「暗黙の了解」の下に成立している。
終身雇用の成り立ちまでの歴史は古いが、今の形となったのは高度経済成長期と言ってもよいだろう。この頃の日本には、若い労働者が多く、また企業側もこの労働者を欲しがっていたために、毎年多くの新卒者が採用された。しかし、新卒者の多くはスキルを持っていないために、企業内での研修やその後の業務を通して、一人前に育成していかなくてはならず、長期的な雇用を行う必要があった。これにより、労働者の流動性を抑え、企業は自社に特化した高いレベルの技能を蓄積することができた。
加えて、就職売り手市場の中で企業は人員の確保が難しくなっていった。単に給与を増加させるのは、企業への負担が大きい。そこで終身雇用、年功賃金によって、労働者の生活の維持を企業が担保し、安心と安定を労働者に与えたのである。例えば、配偶者手当や扶養...