道徳教育の指導法(小学校) 1
1 平成20年度改訂の学習指導要領では、道徳の時間の役割が強化されたといえる。具体的には、今回の指導要領では、従来の道徳の時間が、学校の教育活動全体、組織体制、内容の3本が一体となって強化されたのである。それでは、この3本を具体的に見ていきたい。
まずは学校の教育活動全体としての道徳の時間の強化である。改訂のポイントとして、2つ挙げることができる。1つは、道徳の時間が「学校における道徳教育は、道徳の時間を要として学校の教育活動全体を通じて行うもの」と学習指導要領の総則でも述べられているとおり、道徳の時間で完結するのではなく、他の教育活動全体にも繋がっていることを強調しているのである。それは道徳の時間が他の活動に優位するのではなく、週1回、年間35時間程度しかない道徳の時間では全てを児童に教育することが難しいものであり、他の教育活動と一緒に行うことで児童の道徳性がより一層養われるケースも多々あるからである。もう1つは、教育全体の目標に道徳の時間が繋がれるものであることだ。今回の教育基本法改正では、「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する」や「...