P6102 文学概論 (レポート第1設題&第2設題)
テキストと参考図書をもとにまとめたものです。
第1設題:小説神髄』の「緒言」を読み、坪内逍遥が『小説神髄』を執筆するにいたった経緯についてまとめよ。
第2設題:『文学概論』の「詩」を読み、詩とはどのようなものなのかについてまとめよ。
*「縦書き」指定であるため、数字は漢数字で表記してあります。
『小説神髄』の「緒言」を読み、坪内逍遥が『小説神髄』を執筆するにいたった経緯についてまとめよ。
坪内逍遥が『小説神髄』(一八八五)を執筆するにいたった理由は「緒言」に示されている。それは「持論を世に示して読者の迷いを解く」とともに「作家を啓蒙し、日本の小説を改良進歩へと導く」ことで、最終的には芸術の各分野を抜いて、絵画、音楽、詩歌とともに「西欧のノベル(小説)を凌駕するような日本の物語を見たい」という渇望であった。ではなぜそのような心境にいたったのかについて、以下で詳しく見ていきたい。
坪内は幼いころから小説を好み、暇さえあれば小説を読んでいたという。「緒言」に「おのれ幼稚より稗史を嗜みて、いとまある毎に稗史を閲して、貴き光陰を浪費すことすでに十余年」とある。この一文から坪内がいかに読書に勤しんでいたかがわかる。また坪内が、文学を単なる娯楽としてだけとらえていたわけではないこともわかる。なぜなら、人間の好奇心、特に子どものそれは、その時々において変化するのが常である。しかし、彼の文学に対する情熱は十余年にわたっても変化することなく、むしろより一層深くなっていったといえるだろう。やがて...