イスラエル王国史レポート
王国史の資料と内容
申命記派歴史家が“王国史”を記す際、用いた資料・伝承
a「イスラエルの王の歴代志の書(列上14:19)」「ユダの王の歴代志の書(14:29)」
――イスラエル王国とユダ王国の宮廷で編纂された編年記を資料として作成された歴史書
*列王記に記録された事件以外の各王の事績について、これらの歴史書を参照するよう著者は読者に勧めている(14:19,29)
b各預言者サークルで形成された伝承
・北王国エリヤ・エリシャ伝承/南王国イザヤ伝承/神殿記録を用いて作成された祭司的資料
シンクロニズム
南北両王国の王に関する記述を交互に配列する方法によって、両王国の歴史を対観的に叙述
年代的枠組
・各王の治世年数と両国のシンクロニズムが南北両王国の年代的枠組を設定する主要なデータである。
――しかし年数を単純に加算しても、整合的クロノロジーは成立しない
整合的クロノロジーを得るための四つの問題
1、列王記自身の矛盾
2、列王記と歴代志の記録の食い違い
3、南北両王国間のシンクロニズムに矛盾
4、王国の絶対年を決定するアッシリア・バビロニアの記録と旧約資...