1. 公判前整理手続の趣旨・目的
2004年5月に成立した改正刑事訴訟法のうち、「公判前整理手続」を中心とした部分(「刑事裁判の充実・迅速化を図るための諸方策」として導入された部分)は、2005年11月1日に施行された。公判前整理手続が設けられたのは「充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行う」ためである(法316条の2第1項および法316条の3第1、2項)。公判前整理手続は、この趣旨を実現するために、第一回公判期日前に、事件の争点及び証拠を整理することを目的として新設された(法316条の2第1項)。
2. 公判前整理手続の方法
争点及び証拠を整理する方法は、以下のとおりである。まず検察官が、公判期日において証明を予定している事実を明らかにして、その立証に必要な証拠調べ請求をする(法316条の13、同条の14)。被告人・弁護人は、検察官請求証拠の証明力を判断するために一定類型の証拠の開示を請求する(法316条の15)。類型証拠が開示されると、被告人・弁護人は、検察官請求証拠と開示された類型証拠を検討して、防御の方針を決めたうえ、被告人・弁護人が公判期日において積極的に証明することを予定している事実その他公判期日で主張する予定の、事実上・法律上の主張を明示し、そのための証拠調べを請求する(法316条の17)。
公判前整理手続について
目次
1.公判前整理手続の趣旨・目的
2.公判前整理手続の方法
3.公判前整理手続の概略
公判前整理手続の趣旨・目的
2004年5月に成立した改正刑事訴訟法のうち、「公判前整理手続」を中心とした部分(「刑事裁判の充実・迅速化を図るための諸方策」として導入された部分)は、2005年11月1日に施行された。公判前整理手続が設けられたのは「充実した公判の審理を継続的、計画的かつ迅速に行う」ためである(法316条の2第1項および法316条の3第1、2項)。公判前整理手続は、この趣旨を実現するために、第一回公判期日前に、事件の争点及び証拠を整理することを目的として新設された(法316条の2第1項)。
公判前整理手続の方法
争点及び証拠を整理する方法は、以下のとおりである。まず検察官が、公判期日において証明を予定している事実を明らかにして、その立証に必要な証拠調べ請求をする(法316条の13、同条の14)。被告人・弁護人は、検察官請求証拠の証明力を判断するために一定類型の証拠の開示を請求する(法316条の15)。類型証拠が開示されると、被告人・弁護人は、検察官請求証拠と...