「適応・不適応の心理的機制、またそれらからひき起こされる特徴的行動について説明せよ」
人が起こす行動の背景には、それを引き起こす原因が存在する。その原因の追及は教育現場において不適応を起こす児童・生徒の真理状態を理解することに役立ち、問題解決をスムーズに行う手助けとなると考えられる。
人は、さまざまな環境に対し反応して生活を営んでいる。その環境は、時々刻々変化しているので、人が生きていくためには、その環境と状況に応じた行動をとらなくてはならない。さらに、単なる生命の保全だけでなく、欲求を満たして行動できるよう、行動を調整していかなくてはならない。このように主体としての個人がその欲求を満足させようとして、環境の諸条件と調和するためにとる行動や態度の調整を「適応(adjustment)」と呼ぶ。
しかし、人間はただ環境や条件に従って受身的に反応するばかりでなく、自己の欲求や願望を実現し、より活発な生の展開を目指して、環境を意図的に変革したり、状況を操作する場合もある。つまり、環境や状況に自己を適合させていくのみならず、能動的に働きかけて変革するといった積極的な「適応」の型があるのも...