司法試験用に作成した刑法総論の論証パターンです。
・単に論証を記載するのみでなく、論述においてどのような点に気を付けるべきか、どのような部分に配転があると考えられるか、といった点についてももまとめてあります。
・すべての論証を判例の立場に基づいて作成しています。
・司法試験受験生だけでなく、法科大学院受験生、予備試験受験生、さらには法学部生にも利用していただけると思います。
刑法総論 論証パターン
不真正不作為犯の実行行為性
Qどのような場合に、不真正不作為犯の実行行為性を肯定できるか 。
A不作為が作為と同価値と評価できる場合(作為義務がある場合)に限るべき。
∵①処罰範囲の不当拡大の防止
②不真正不作為犯も作為犯と同一の条文を用いるのだから、同価値性を要求すべき
Qどのような場合に作為義務 があるといえるのか
A作為とは、因果の流れを設定し、結果の実現の支配をいう 。であれば、不作為が作為と同価値といえるためには、危険創出(もしくは危険の意識的引受け)があり、結果実現過程を排他的に支配していた(法益の維持・存続が排他的に依存しているという関係)といえることが必要である。
Q作為義務のみで実行行為性を認めてよいか
A作為義務の容易性・可能性が必要である。
∵刑法は不可能を強いるものではない
〔論証例〕
(不作為で実行行為性を認められるか、問題提起)
どのような場合に、不真正不作為犯の実行行為性を肯定できるかであるが、不作為が作為と同価値と評価できる場合(作為義務がある場合)に限るべきであると考える。
なぜなら、そうでない場合にも実行行為性を肯定する...