ペルーにおける教育制度、学校制度について、日本との比較を含めたレポート。
ペルーの教育制度
はじめに、ペルーの基本的な教育制度と現状についておおまかに説明する。ペルーの教育制度は、1960年代にはじまった本格的な教育制度の整備により、小学校6年間と中学校5年間(日本の高等学校にあたるものもこれに含まれる)を柱とした教育制度となっている。93年に成立した新憲法によると、就学前教育(幼稚園のようなもの)1年間・小学校6年間・中学校5年間をあわせた合計12年間が義務教育とされている。ペルーでは、小中学校のほとんどは中央政府による公立学校で、学費は無料である。私立学校には、政府から助成金が支給されている。
近年、ペルーでの就学率は年々上昇しており、学校数も増えている。しかしそれでも依然として十分といえる学校数には至らず、特に農村部では通学が困難な状況である地域が多い。さらに、数だけではなく質も不十分であるところが多く、満足な状況・設備を整えた学校は、全体の30%にすぎないという。57%は緊急な修理を必要とし、13%は修復不可能というデータもある。農村部では、上下水道と電気を完備した学校は2.4%にすぎないという。(世界銀行の調査より)これに関して、その地域の住民たち...