『グレート・ギャッツビー』(The Great Gatsby, 1925)が表す1920年代の光と陰
フィッツジェラルドとロスト・ジェネレーション
「グレート・ギャツビー」はアメリカの作家、フィッツジェラルド(1896-1940)の代表作である。フィッツジェラルドは、金銭的な理由により作品を発表することがほとんどで金に困ると短編集を出していたが、パリで生活をした時には充実した作家生活を送り、そこで発表しされたのが「グレート・ギャッツビー」である。主人公は貧しい家庭の出身で、成功を夢見て都会の上流社会にやってくるが、挫折を味わい、最終的に殺されてしまうという話で、第一次世界大戦で受けた傷によってこれまでのアメリカの伝統的な価値観が破壊され、それがアメリカの悲劇として表わされた。また、フィッツジェラルドはロスト・ジェネレーションの作家と呼ばれており、ロスト・ジェネレーションとはG.スタインがヘミングウェイ(1899-1961)を評して言った言葉である。これは第1次大戦後の1920年代、アメリカから逃避して西欧で文学を追求し、主として戦争の体験を不信感、喪失感をこめて描き出した当時の若い...