今回は学部試験に出やすいということで、第三者によって抵当権が侵害された場合を見ていくことにします。
抵当権に基づく物権的請求権が重要です。
1.抵当権侵害とは
抵当権も物権だから、抵当権の内容が侵害されたとき(例えば、抵当権が設定されている山林の樹木が伐採・搬出された場合)には、その排除を求める物権的請求権が生じ、また、不法行為に基づく損害賠償請求権が発生することもある。しかし、抵当権は、本来、目的物の利用を伴わず、単にその交換価値を把握するだけの価値権であるため、所有権侵害のような典型的な物権侵害と異なり、様々な問題が生じる余地がある。
2.抵当権に基づく物権的請求権★
<Case10>
AはBの山林に抵当権を設定していた。ところが、このB所有の山林の樹木をMが伐採・搬出しようとしている。このとき、抵当権者Aは伐採・搬出を差し止めることはできるか。
<Case11>
<Case10>で、Mはトラックで伐採した樹木を搬出してしまった。このとき、抵当権者Aは樹木の返還を請求することができるか。
※ 抵当権設定者や第三者による抵当権侵害行為に対し、抵当権者が、物権的請求権として差止請求権を行使しうる点で学説・判例ともに争いはない(大判昭6.10.21)が、すでに搬出されたものを所在地に戻すように請求しうるかについては争いがある。
抵当権侵害のまとめレポート
POINT!
今回は学部試験に出やすいということで、第三者によって抵当権が侵害された場合を見ていくことにします。
抵当権に基づく物権的請求権が重要です。
1.抵当権侵害とは
抵当権も物権だから、抵当権の内容が侵害されたとき(例えば、抵当権が設定されている山林の樹木が
伐採・搬出された場合)には、その排除を求める物権的請求権が生じ、また、不法行為に基づく損害賠償
請求権が発生することもある。しかし、抵当権は、本来、目的物の利用を伴わず、単にその交換価値を把
握するだけの価値権であるため、所有権侵害のような典型的な物権侵害と異なり、様々な問題が生じる余
地がある。
2.抵当権に基づく物権的請求権★
<Case10>
AはBの山林に抵当権を設定していた。ところが、このB所有の山林の樹木をMが伐採・搬出しようとして
いる。このとき、抵当権者Aは伐採・搬出を差し止めることはできるか。
<Case11>
<Case10>で、Mはトラックで伐採した樹木を搬出してしまった。このとき、抵当権者Aは樹木の返還
を請求することができるか。
※ 抵当権設定者や第...