■【2013】【明星大学】【視覚障害者の心理・生理・病理】過去問と回答例

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    資料紹介

    2013年度、明星大学 教育学部 通信課程において、科目終了試験に出題された問題の一覧、およびその回答例、ヒント集です。2013年4月~2013年10月の間に行われた科目終了試験において、全国(すべての試験会場)の試験問題が網羅されております。(問題数が膨大でないのは、出るパターンが決まっているからです。本資料以外の問題は2013年度は出題されておりません)
    2013年度の試験問題は2012年度の試験問題と重複する部分が多かったため、2014年度以降の科目終了試験においても、2013年度の試験問題は役に立つかと思います。
    全国の明星通信生の方のご協力により本資料を作る事ができました。ここでお礼を申し上げるとともに、これから試験を受ける皆様のお役にたてれば幸いです。
    また、試験対策だけでなく、レポート作成の際にも、記載させていただいている回答例、ヒント集はお役に立つかと思います。レポート作成の前にダウンロードすると、レポート作成作業がはかどると思います。

    ● 【過去問】と【合格レポート】 まとめブログ : http://ameblo.jp/meiseitarou/

    資料の原本内容


    ●視力障害について述べよ。

    ア 視覚障害の概要
    視覚障害とは,視機能の永続的低下の総称である。視機能が低下していても,それが短
    期間に回復する場合は視覚障害とはいわない。視機能には,視力,視野,色覚,光覚など
    の各種機能がある。したがって,視覚障害とは,視力障害,視野障害,色覚障害,光覚障
    害(明順応障害,暗順応障害)などをいう。
    教育上特別な支援や配慮を必要とする視覚障害には,次のような条件が伴うことに留意
    する必要がある。
    (ア) 両眼ともに視機能が低下していること
    片眼だけに視機能の低下がある場合には,視覚障害とはいわない。片眼が見えなければ
    遠近感覚がないなどの不自由はあるが,見える方の眼を使うことによって,教育上特別な
    取扱いを要するほどの支障を伴わないからである。したがって,片眼が全く見えない場合
    であっても,他眼に視機能の低下がなければ視覚障害ではない。これは,福祉や労働の分
    野においても同様である。
    (イ) 現状以上の視機能の回復が望めないこと
    例えば,先天白内障の場合,手術によって視力は回復する。このように,医療によって
    回復するものは,視覚障害とはいわない。一方,先天白内障の中には,小眼球など他の眼
    疾患が合併していて,手術を行っても十分な視力の回復が得られず,永続的に視力低下が
    みられる者もある。しかし,手術を行わなければ視力が回復するかどうかは分からない。
    したがって,手術後,視力の回復が期待できず,障害が固定した時点で視覚障害となる。
    また,手術を行うまでに,ある程度以上の期間が必要な場合には,白内障の状態でも,一
    応固定障害に準じて,当面,視覚障害とみなすのが妥当である。


    ●視野障害について述べよ。

    ここで言う視覚障害とは、何らかの原因により視機能に障害があり、回復が不可能または著しく困難であって、障害が永続的または長期にわたり続く事を言います。

    視覚障害は大別すると「視力障害」「視野障害」「色覚障害」の3つに分けることができます。
     しかし「色覚障害」は、身体障害者となる視覚障害の範囲を視力と視野についての障害に限定しているため、身体障害者福祉法による障害者には含まれません。

    ●視機能障害を起こす疾病について3〜4種類を挙げ、述べよ。

    ●屈折異常とは何か。図も添えて述べよ。

    物を見るとき、光は角膜を通って瞳孔から眼の中に入り、水晶体、硝子体を通り、 眼の一番奥にある網膜に達します。網膜に達した光の刺激が視神経を通って脳に伝えられると、 『見える』と認識されます。
    人間の眼はカメラに似た構造をしてると例えられています。角膜と水晶体はレンズ、瞳孔は絞り、 毛様体とチン小帯はピント合わせ、網膜はフィルム、脳はプリンターと置き換えると、物が見えるしくみは理解しやすいです。
    物の見え方として、眼の奥にある網膜上に光の焦点が合えば、物がはっきり見えます。逆に、光の焦点の位置が網膜上になく、 網膜の前後に焦点が合えば、物がはっきり見えません。このことを『屈折異常』と言います。屈折異常には近視、遠視、乱視、不同視の4種類が含まれます。

    ものが見えると認識する流れ
          光
          ↓
    光が角膜、瞳孔を通過
          ↓
    水晶体でピント合わせ
          ↓
      硝子体を通過
          ↓
      網膜に光が到達
          ↓
     視神経を通って脳へ
          ↓
      『見える』と認識

    ●視覚障害者の心理のうち、記憶、思考について述べよ。

    1.学習や認知活動にかかわる記憶とは
    心理学では記憶は1つとは考えない。貯蔵過程を時間軸
    に沿って分類した古典的なAtkinson&ShifErinモデル[2]
    と記憶される内容や脳での処理過程にまで踏み込んだ
    Squire[3]の分類が代表的である。近年は認知活動の基礎
    としての記憶という観点からBaddeleyのワーキングメモ
    リ・モデル[4]が重要視されている。
    ワーキングメモリは作動記憶や作業記憶とも呼ばれ、
    「WM(ワーキングメモリ)は容量制約的環境で働き、情
    報が時間的制約のなかで統合される働きが含まれる。身近
    な観点からみると、WMは日常生活をなめらかに営むた
    めの必要不可欠な“脳のメモ帳”の役割を演じている」[5]
    とされる。コンピュータでいえば、メモリにあたり、一方
    「知識」はハードディスクに記録された内容と考えればよ
    い。ワーキングメモリは学習や認知活動を支えていると考
    えられている。

    提唱者であるBaddeley自身がワーキングメモリのモデ
    ルを何度か改定しているが、図1は2003年[6]のものを参
    考に筆者が作成した。ワーキングメモリは中央実行系と3
    つの流動性下位システムから構成される。各下位システム
    は独立して機能するとされる。例えば、運転しながら携帯
    電話をしている営業マン(もちろん交通違反であるが)
    は、目の前の道路状況を把握しながら、電話からの会話を
    理解し、さらに予定していた商談プラン、目的地へのルー
    トなどを並行して情報処理していることになる。カーステ
    レオから流れる曲にふと学生時代を思い出しているかもし
    れない。他の記憶モデルが記憶の固定と検索の時間的側面
    に焦点をあてたものであったのに対して、記憶された知識
    を活用しての情報処理過程としての「作業」のための記憶
    過程がワーキングメモリである。その特性としては、
    ・一時的に情報を保持する側面とすでに学習した知識や
    経験を絶えず参照・想起しつつ情報処理操作を行い、
    両情報を共同して目標達成志向過程を支える。・高次の認知活動を支え、自己モニターにも関与する。
    ・ワーキングメモリの容量は人によって決まっている。
    記憶保持の容量と作業スペースは一方を多くとると、
    他方が小さくなる(トレードオフ)関係がある。
    などがあるとされる[7]。発達的変化があり、個人差を測定する
    ための後述するRST(ReadingSpanTest)やIJST(Listening
    SpanTest)といった専用テストも開発されている[8]。

    2.視覚障害者教育とワーキングメモリのかかわり
    それでは、視覚障害者教育とこのワーキングメモリはど
    のようにかかわってくるのか。一説には人間の情報処理は
    80%が視覚によるといわれる[9]。視覚障害者はこの膨大
    な情報の入手に障害を抱えていることになる。しかし、こ
    のことはワーキングメモリのリソース分配の観点からは、
    注意などの認知リソースを聴覚や触覚といった他の感覚入
    力からの情報処理により多く振り分けられることも意味
    し、外国語学習などは受動的リスこングのみでも可能とい
    う説[10]もあり、音声中心の語学学習などでは必ずしも不
    利な要因とはならないと考えられる。

    一般の人で、いや、視覚障害者に関わる人ですら自分が「失明」すると考えている人はいないと思います。その思ってもみない「失明」が自分に起こるとすれば大きな「恐怖心」が生じることになります。
    人の恐怖心で「死亡」の危機感を1.0と仮定した場合、「失明」の危機感は0.62と言われ、「失明」するかも知れないと考えたとき、人は大きな恐怖心を抱き、「苦悩」や「焦燥感」や「悲しみ」など複雑な心理を持つことになります。夜、寝られなくなったり、枕を涙で濡らすことになるのです。
    少子化の影響もあり、生まれながらに障害を持つといった「先天性」の視覚障害者は減少する傾向にあるようですが、中途視覚障害者の割合は増加しており、その原因の多くは疾病によるもので、その発症時期は壮年期から高齢期に集中しています。
    現代の視覚障害者の年齢層は50才以上の視覚障害者が89.0%となっており、他の障害種別と比較して視覚障害者は壮年から高齢で重度となる人の占める割合が高い特徴があります。
    家族や職場で重要な位置を占める人が障害が重度となることで、その役割を壮年期に放棄せざるを得なくなり大きな心の痛みとなり、まさに自らが「死」を求めるような心理にもなります。失明した人に「死ぬことを考えたことがあるか」を質問した結果、調査対象167名中、94名(56.3%)が「死ぬことを考えた」と答えています。
    だが、多くの障害者は精神的苦痛に耐え、立派に生き抜いています。
    しかし、失明したり、その状況に追い込まれた者が生きていくのは簡単ではありません。落胆の中、治療や在宅生活に時間を費やすことになり、家族や社会に頼って生きることに対して健常者にはない生活をしていく上での新たな複雑な心理を抱え込むことになります。また、これらの心理は「負い目」に近い性格を持っており、自立を進めてゆく上での阻害要因の一つにもなっています。
    ●視覚障害者の心理のうち、知能、パーソナリティについて述べよ。

    現在は一般に障害者固有の人格はないと言われている。視覚障害もその意味では同じである。
    その理由として
    障害者に固有と感じられる性格は,環境による二次的な性格形成の結果であるから
    個人差の方が障害間の差より大きい
    共生が望ましいから健常者との違いをことさら強調したくないという時代背景
    があると言われる。
    (参考)視覚障害児・者の過去に言われた性格特徴(榊原清)
    自己中心性 協調性や社会性が少なくて物事を自分中心で考えたり行動したりする。
    依...

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