第1課題 訴外七盛工業(株)(A)は、さる県の県議会議員近藤仁三郎(Y1)を代表取締役とし、同県の中堅都市の元市議会議員英幾太郎(Y2)を専務取締役とする株式会社(平成18年設立)である。原告尾花鋼材(X)は、同県の政治的な実力者訴外河山義一郎(B)の口添えもあったことから、Aとの取引はなかったが特にAの信用調査をすることもなく、錫めっき硬鋼線を500万円でAに売却し、手形金を同額とする約束手形(平成19年3月4日振出、満期日同年5月2日)の交付を受けた(本件取引)。しかし、Aは平成19年3月頃から倒産状態にあり、取引銀行との契約関係も解除されていた。満期に手形金の支払いを受けられなかったXが調査したところ、本社所在地とされた場所に事務所はなく、電話番号も架空であり、あるとされた工場も存在しなかった。そこでXはY1、Y2を相手取り、本件取引の代金に当たる損害賠償を請求しようと考えている。
Aは本件取引により入手した鋼線を訴外森島稔(C)に転売していること、Xとの取引以外にも訴外中商毛織り(D)との間でも約束手形(振出日平成19年3月12日)による取引をしていたこと、Y1は、Y2の懇請...