本書の読み方
本書は各章の議論が密接に相互に関連している。それゆえ、拾い読みをすることは解釈の誤りを招く危険がある。本書を読む最善の戦略は全体を読むことである。しかしながら多くの読者は全てを読む必要はなく、また出来ないかもしれない。そのため、本節においていくつかの道しるべを提供する。
本書は二つの主要なパートから構成されている。第2章と第3章は社会学的もんだいとは直接的にはほとんど関係のない創発の理論について議論する。その代わり、自然科学での例を取り上げ、実社会において生じるさらなる困難から生じる問題で混乱することなく創発と因果パワーの原則を理解する。こうしたことが一連の道具をつくりあげることを可能にし、第5章から第8章までの構造とエージェンシー、それらの相互作用を説明する際に応用できるようになる。第4章では第2章と第3章で提供した分析枠組みをどのように社会構造の問いに応用することができるかを示すことで二つの主要なパートをつなぐ橋を提供する。前半が後半の基礎を提供しているため、前半を理解することなく後半を理解することはできない。
前半の議論との最善の妥協点は第2章から第4章ま...