<設題1>
私たちは、毎日の生活のなかで、他人との間で契約とは意識しないで契約を結んだり、約束しそれを履行している。たとえば、通勤途上、駅の売店で新聞や雑誌を買い求めることは、代金を支払い同時に目的物の新聞等を受け取るもので、これは売買契約をし、ただちにその場で給付を受けたことになる。契約は、契約を締結したいという両当事者の意思表示が合致することによって成立するもので、意思表示は、口頭で行うこともできるが、不動産売買などの大きな契約では、口約束だけでは契約内容が曖昧になり、トラブルが生じやすいため、一般に書面(契約書)の交換が行われる。契約書は、契約の存在・内容の明確化、紛争予防、裁判での証拠などの役割を果たすことができる。また、契約書の内容は、どのような内容を盛りこむかなど、契約を結ぶ両当事者の自由(公序良俗に反する内容のものでない限り)な意思により決められるもので、これを「契約自由の原則」という。ただし、法律には任意規定と強行規定がある。法律に反していても当事者間の合意が有効となる場合で、法律よりも当事者間の合意が優先されるのが任意規定である。逆に、当事者間の合意よりも法律の規定...