1. 本件の第1回公判期日は、平成15年2月20日と指定された。起訴後に選任された弁護人・日高英治は、公判に備えるため、被告人と接見を繰り返し、被告人の言い分を聴取した。 被告人の言い分は概要下記のとおりであった。
私は、「アーヴァン」で飲酒中、金本さんと喧嘩となり、店の前の路上で、金本さんから一方的に殴られ、顔面や足などに怪我をしました。止めに入った安田社長の車で自宅まで送って貰いました。自宅に戻ると、一方的に殴られたり蹴られたりした金本さんに仕返しをしてやりたいという気持ちが沸きました。しかし、殺してやるとまで思ったわけではありません。刺身包丁を持ち出したのは、脅しのつもりでした。そして、私は、歩いて「アーヴァン」へ戻りました。店の出入口扉を開けて、外へ金本さんを呼び出しました。金本さんが出てきた時、最初から包丁を使うつもりだったわけではありません。金本さんが向かって来たんで、咄嗟に右手に持っていた包丁をそのまま出したのです。腹の真ん中をねらって刺したわけではありません。寧ろ、金本さんの腹の右の端をねらった記憶です。金本さんを殺そうとは思っていないし、こんなことをしたら金本さんは死んでしまうかもしれないと思っていたわけでもありません。始めは、手応えも全然無く、刺さったかどうかも分かりませんでした。警察官から、「包丁持ち出してるんだから、殺すつもりだった筈だ。だから腹の真ん中をねらったんだろう。」と言われ、そういうものかなと思い、そういう調書になってしまいました。そして、調書ができたらサインしないといけないものと思ってサインしました。金本さんを刺した後のことは良く覚えていませんが、たぶん、刺さった包丁を私が抜いたと思います。そして、その包丁を刃先を足元の方に向けて持っていたと思います。
1. 本件の第1回公判期日は、平成15年2月20日と指定された。起訴後に選任された弁護人・日高英治は、公判に備えるため、被告人と接見を繰り返し、被告人の言い分を聴取した。 被告人の言い分は概要下記のとおりであった。 私は、「アーヴァン」で飲酒中、金本さんと喧嘩となり、店の前の路上で、金本さんから一方的に殴られ、顔面や足などに怪我をしました。止めに入った安田社長の車で自宅まで送って貰いました。自宅に戻ると、一方的に殴られたり蹴られたりした金本さんに仕返しをしてやりたいという気持ちが沸きました。しかし、殺してやるとまで思ったわけではありません。刺身包丁を持ち出したのは、脅しのつもりでした。そして、私は、歩いて「アーヴァン」へ戻りました。店の出入口扉を開けて、外へ金本さんを呼び出しました。金本さんが出てきた時、最初から包丁を使うつもりだったわけではありません。金本さんが向かって来たんで、咄嗟に右手に持っていた包丁をそのまま出したのです。腹の真ん中をねらって刺したわけではありません。寧ろ、金本さんの腹の右の端をねらった記憶です。金本さんを殺そうとは思っていないし、こんなことをしたら金本さん...