文学者ヘミングウェイのHills like White Elephantsを考察したものである。英文の短編小説には風景描写や登場人物の行動一つ一つ、また登場する物にもそれぞれに意味がある。日本人だけの文化では理解できないものもある。二人の何気ない会話からヘミングウェイの観察力の鋭さや感受性の豊かさがにじみ出ている作品である。
ヘミングウェイの世界観とHills like White Elephants
この作品は風景描写と男と女が一人ずつと酒場の女性しか登場せず、それ以外の情報は一切ない。二人の単調でありきたりの会話から読み取れる明らかな情報はないのだ。しかし彼らの会話の不自然な空気や二人言葉や様子から、彼らが何か大きな問題を抱え、それが堕胎の話であることが分かる。一見して何気ない描写からも二人の感情の差異や意見のくいちがいが伺える。ヘミングウェイのIceberg theory (アイスバーグ理論), 登場人物の心の動きや、物語で伝えたいことは何かを、わずかな描写や言葉の使いまわしなど一部の情報から全体像を読み取ることが求められている。またヘミングウェイが趣旨を明確にしないことで何を訴えたいのかについて、二人の会話、また風景描写から考えてみたい。そしてこのタイトルの持つ意味とは何なのかということも考察したい。
登場人物はAmericanとgirlと酒場の女性である。お酒についてgirlが質問していることやwomenと表記せずgirlとしていることからも年齢の違いがあることがわかる。何気ないお酒の話を始...