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一、公法・私法・社会法について
(1)法の分類の歴史
法の体系分類としては古くから公法と私法に大別されローマ法に遡る。この時代では、公法とは公の利益関心が重視され、私法は私人の利益関心が重視された利益関心理論が唱えられていた。19世紀に入り国家の主権が確立し、市民の私的自治が確立するようになると、公共性を保持する「国家」と経済的利益を交換する「社会」が分離したため、法の分類として公法と私法の区別が主要となった。特に、フランス人権宣言以降のドイツ、フランス等の大陸法諸国では、現在の行政事件に該当する公法的な事件を、専門的に心理、判決する特別裁判所が存在していたこともあり、
何が公法に該当するのかを区別・判断する実益が伴っていた。公法、私法の区別の学説として、利益説、主体説、法律関係説に分かれるが、未だ確立された定説は存在しない。
1.利益説
法が保護する利益により、公法・私法を区別するものであり、法で規制した結果が公の利益であるならば公法、私人の利益、つまり私益であるならば私法として区別する説である。古代ローマのウルピアヌスも、「公法はローマの立国制度に関する法であり、私法は各個人の...