1 目的
本実験では,炭素鋼の熱処理に及ぼす組織の影響を調べ,平行状態図や恒温変態曲線について理解するとともに,相変態について理解を深め,それらの機械的特性に及ぼす影響を類推することを目的とする.
2 実験内容
2.1 実験装置
1. 電気炉,温度コントローラ 各1個
2. K熱電対,デジタル温度計 各1個
3. 水道水,スピンドル油,空気 各種
2.3 実験方法
1. 900℃に加熱した電気炉ないに各試料を投入し,約1時間加熱・保持をする.
2. 充分に加熱された試料を取り出し,空冷,油冷,水冷の三種類の冷却方法で試料を冷却する.
3. 熱処理後,各試料について耐水研磨紙で研磨する(#800,#1000,#1500,#2000の四種類)
4. 研磨紙での研磨後,バフ研磨を行う.研磨材にはアルミナを使用する.
5. 3%ピクリン酸水溶液で90秒程度腐食(エッチング)をし,直ちに水洗して熱風乾燥機でよく乾燥させる.
6. 光学顕微鏡にて検鏡を行い,各試料の組成を観察する.
3 結果
3.1. 実験結果
まず,図1の水冷をした試料を観察する.S材では残留オーステナイト(retained austenite)がはっきりと確認でき,全面にわたりマルテンサイト変態(martensitic transformation)が観察される.L材とH材においてはマルテンサイトと残留オーステナイトの混在状態が確認できる.これによりL材とH材は似たような組成を持つことが推定される。
図2の油冷試料について,S材ではほぼ全面にわたりマルテンサイト組織となっており,幅2μm程の部分に極めて強靭な組織であるソルバイト(sorbite)を見つけることが出来る.L材では幅20μm程にソルバイトが成長し,それ以外の部分には残留オーステナイトが確認される.
金属の熱処理,組織
実験日 : 2006年7月6日
1 目的
本実験では,炭素鋼の熱処理に及ぼす組織の影響を調べ,平行状態図や恒温変態曲線について理解するとともに,相変態について理解を深め,それらの機械的特性に及ぼす影響を類推することを目的とする.
2 実験内容
2.1 実験装置
電気炉,温度コントローラ 各1個
K熱電対,デジタル温度計 各1個
水道水,スピンドル油,空気 各種
2.2.試料
資料には分別のために刻印がされている.それぞれの意味を表1に示す.
表1 試料料の刻印の意味
記号 名称 記号 冷却方法 記号 記号 S 軟鋼:SS400 W 水冷 9 900℃に加熱 L 機械構造用炭素鋼:S50C(亜共析鋼) O 油冷 H 炭素工具鋼:SK3(過共析鋼) A 空冷
2.3 実験方法
900℃に加熱した電気炉ないに各試料を投入し,約1時間加熱・保持をする.
充分に加熱された試料を取り出し,空冷,油冷,水冷の三種類の冷却方法で試料を冷却する.
熱処理後,各試料について耐水研磨紙で研磨する(#800,#1000,#1500,#2000の四種類)
研磨...