女子マネージャーをめぐるジェンダー論

閲覧数5,877
ダウンロード数20
履歴確認

    • ページ数 : 5ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    第一章:書評
    この本は、1992年のある日の朝日新聞朝刊の一つの記事から話が展開されていく。その記事とは、「白球七不思議」というタイトルがつけられ、女子マネージャーの急激な増加と現場教師の戸惑いを報じたものである。そして、著者はこの新聞記事から次の3つの素朴な疑問を抱いた。
    ?女子マネージャーはいつごろから登場し、なぜ今日のように増加していったのであろうか。
    ?女子マネージャーの増加には、メディアの多大な影響があるのではないのか。(というのは、先ほどの新聞記事の中に「アニメにもなった人気漫画『タッチ』のヒロインの南ちゃんにあこがれた。」というある女子マネージャーの動機があったためである。)
    ?マネージャーのアイデンティティの構築は一体どのようなものになっているのだろうか。
    さらに、これらの疑問点を議論していくうえで、次のことが前提となって論が進んでいく。
    ・女子マネージャーはほとんどの場合、男性集団とともにいる。したがって、以下の論では「女性と男性」という二項対立図式ではなく、「男性集団と女性」という図式で説明していかれる。
    ・近年男同士の関係について議論してきたE・Kセジウィックの「ホモソーシャル」という概念を軸に論じていくということ。「ホモソーシャル」とは、男性集団のことを指すのだが、これは女性を排除することによって男同士の絆が強まる。しかしそれは決して「ホモセクシュアル」ではないのだ。そこでは常に強い同性愛嫌悪が存在しているのだ。したがって、ミソジニー(女性蔑視)とホモフォビア(同性愛嫌悪)がワンセットとなってはじめて「ホモソーシャル」という概念が生まれるということである。
    ・男性集団と女性の間に存在する心理的、物理的な接点を「境界」と呼ぶ。
    それでは、具体的な内容にうつっていきたい。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    第一章:書評
     この本は、1992年のある日の朝日新聞朝刊の一つの記事から話が展開されていく。その記事とは、「白球七不思議」というタイトルがつけられ、女子マネージャーの急激な増加と現場教師の戸惑いを報じたものである。そして、著者はこの新聞記事から次の3つの素朴な疑問を抱いた。
    女子マネージャーはいつごろから登場し、なぜ今日のように増加していったのであろうか。
    女子マネージャーの増加には、メディアの多大な影響があるのではないのか。(というのは、先ほどの新聞記事の中に「アニメにもなった人気漫画『タッチ』のヒロインの南ちゃんにあこがれた。」というある女子マネージャーの動機があったためである。)
    マネージャーのアイデンティティの構築は一体どのようなものになっているのだろうか。
    さらに、これらの疑問点を議論していくうえで、次のことが前提となって論が進んでいく。
    女子マネージャーはほとんどの場合、男性集団とともにいる。したがって、以下の論では「女性と男性」という二項対立図式ではなく、「男性集団と女性」という図式で説明していかれる。
    近年男同士の関係について議論してきたE・Kセジウィックの「ホモソー...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。