「更正保護の実際と今後の展望について述べよ。」
Ⅰ.序論
更正保護は、司法の一環と捉えられてきた。しかし、現在の再犯者の現状、受刑者の高齢化、その他様々な問題は法的視点のみの対応では限界がある。更正保護が真にその効果を発揮するには、福祉との連携が不可欠であり、社会福祉の専門職は、犯罪、更正保護、刑事政策について良く理解し、福祉との結びつきを積極的に意識してソーシャルワークを展開してく素養をもつ必要がある。
Ⅱ.本論
本論では、1.更正保護の実際事例から福祉との結びつきを理解し、2.ケース別課題で、ケースの種類に応じた留意点、3.福祉の専門職が更正保護に実際にかかわる場合の留意事項について考察し4.更正保護の今後の展望について考察するという構成になる。
1.更正保護の実際事例
本来、福祉のニーズをもちながらも福祉資源にアクセスできなかった人々が、犯罪や非行を犯すことがきっかけで初めて、福祉資源にアクセスすることが出来たというケースは多い。それらのケースについて事例を理解する。
事例1
知的障害とアルコール、シンナー依存症で万引により受刑を繰り返している女性を、医療や福祉につなげるため...