テンニース、ジンメル、デュルケムが19世紀末に展開した議論の特徴として『人々の関係性』が共通としていると考えられる。
彼等の議論をまとめ、現代日本社会への妥当性を事例を挙げて論じていく。
2、まず、テンニースの議論として、1887年『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト(共同社会と利益社会)』の特徴を述べる。
この議論の中で、人間の意志の形式と人間関係や集団、社会の形態について考察し、近代社会の性格について論じている。人々の結びつきは人間の意志の形式であるとし、実在的・自然的な統一として理解される『本質意志』と観念的・人為的な統一として理解される『選択意志』に基づくとしている。
本質意志による家族・地域社会などのような自然的な結合は、人々の間に何の打算もない全人格的な結びつきである『ゲマインシャフト』とする一方、選択意志による目的的な結合は個々人が互いの利益にかなう限りで部分的に手を結び合う打算的な冷たい関係にある『ゲゼルシャフト』の2種類に社会を分類したのである。
続いて、ジンメルの議論として1890年『『社会分化論―社会学的・心理学的研究』の特徴を述べる。
ジンメルは『社会』...