Great gatzby chapter8 The end of the summer

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    Great Gatsby chapter8 The end of the summer   岩本莉子
    Chapter7では、トムとの対決と同時に気温も「夏で一番暑い日」となり、事件の翌日から始まるchapter8では、徐々に秋の兆しが見え始める。この作品には天気・季節に関する記述が多く、物語が夏を舞台にしたものだという事が分かる。夏は終わりに近づいており、また同時にギャッツビーの夢も終わろうとしている。またそれは、1920年代におけるアメリカン・ドリームの堕落を表すものでもある。今回は、この3つの関連について論じていこうと思う。
    夏の終わり

    この作品中で天気は物語の筋と対応している。

    Chapter1のDaizyの台詞

    “In two weeks it’ll be the longest day in the year.”(11)

    は、夏の始まり、そして「ひと夏のアバンチュール」の始まりを示唆している。物語は夏至に向かって進み、ちょうど夏至に当たる頃DaisyとGatsbyは再会する。

    先に述べた通り、Chapter7での修羅場の場面は

    “broiling, almost the last, certainly the warmest, of the summer”(114)

    とあり、内容も作品中で一番ヒートアップする場面となっている。

    そして事件から一夜おいたChapter8では、一転して秋の気配が窺える。庭師が落ち葉を心配してプールの水を抜こうとするほどである。

    The night had made a sharp difference in the weather and there was an autumn flavor in the air. The gardener, the last one of Gatsby’s former servants, came to the foot of the steps. “I’m going to drain the pool today, Mr. Gatsby. Leaves’ll start falling pretty soon, and then there’s always trouble with the pipes.”(153)

    それに対し、Gatsbyは “Don’t do it today”(153)と言い、もう秋だというのにプールに入ろうとする子供っぽいところを見せる。

    “Life starts all over again when it gets crisp in the fall.”(118)と季節の移り変わりを素直に受け入れるJordanとは違い、Gatsbyは夏の終わりを認めることができないのである。
    ギャッツビーの夢の終わり

    夏の終わりを受け入れられないGatsby. それは、Daisyとの過去を再現する夢をあきらめられずにいつまでも縋りつこうとする心の現れでもあるだろう。彼はデイジーとの幸せな過去を諦められず、既にデイジーの心が離れてしまった今でも、その事実を受け入れることができず、かかってくるはずのない電話を待っている。また、デイジーと出会った頃の出来事を事細かにニックに語って聞かせるその行動は、なんとかして過去を自分の中で生かしめようとしている様にも思える。
    事件の翌朝、GatsbyはNickにDaisyに出会ったころの話を聞かせる。

    Gatsbyは当時財産も経歴も持たない田舎出身の将校でしかなかったが、大物になろうと高い志を持っていた彼は富のオーラを纏ったDaisyに恋をし、のめりこんだ。彼の夢はDaisyという一人の女性に付与され、美化され、具現化されることとなった。将来有望であり、あらゆる可能性を秘めていた彼の目標が、Daisyを手に入れる事に絞られたのである。

    “…Well, there I was, ‘way off my ambitions, getting deeper in love every minute, and all of a sudden I didn’t care. What was the use of doing great things if I could have a better time telling her what I was going to do?”(150)

    実際にはただの金持ち娘であるデイジーを人生の目標としたことでギャッツビーが当初もっていた”Great”な上昇志向はただ単に金を集め物質的豊かさを求めるという低俗な行為に向けられた。その手段として彼は酒の密売という犯罪行為にも手を染めた。

    これは、当初純粋な “pursuit of happiness”であったはずのアメリカン・ドリームが次第に富を求めるだけのものへと退廃していく様と重なる。
    アメリカの夢の終わり

    American Dreamとは建国時の独立宣言に基づいた概念である。

    →“ We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness.”(独立宣言)
    American Dream という言葉を最初に記した“Epic of America”で、著者James Truslow Adams はこう語っている。

    But there has been also the American dream, that dream of a land in which life should be better and richer and fuller for every man, with opportunity for each according to his ability or achievement. It is a difficult dream for the European upper classes to interpret adequately, and too many of us ourselves have grown weary and mistrustful of it. It is not a dream of motor cars and high wages merely, but a dream of social order in which each man and each woman shall be able to attain to the fullest stature of which they are innately capable, and be recognized by others for what they are, regardless of the fortuitous circumstances of birth or position.    “Epic of America”1931, James Truslow Adams

    しかし、大量消費時代の到来と共に人々の関心はファッショナブルで豪奢な生活へと移っていく。Daisy が生きたのはそんな時代だった。For Daisy was young and her artificial world was redolent of orchids and pleasant, cheerful snobbery

    and orchestras which set the rhythm of the year, summing up the sadness and suggestiveness of life in new tunes. (151)

    時代背景

    1920年代は今日の「アメリカ的生活様式」なるものを形成する歴史の大転換期となった時代である。19世紀末から拍車がかかる産業革命は第一次世界大戦直後の混乱期を経て20年代の大量消費時代をもたらしたが、その過程においてアメリカ社会は急速かつ劇的な変質を遂げた。それは同時にこの時代を生きた人々の生活観や人生観にも大きな変化をもたらした。(中略)南北戦争以後、国家が主導する理想社会の実現に、もはや彼らの関心はなかった。(中略)もはや労働に対する意欲や希望は薄れ、働くことは消費生活を満喫するための手段でしかなかった。アメリカ1920年代―ローリング・トゥエンティーズの光と影 英米文化学会編
    「古き良き」時代はもう終わってしまっており、かつてアメリカン・ドリームを抱いた人々の上昇志向は薄れてしまっていたといえる。この点で、ひたむきな昔ながらの上昇志向がまだ通用すると考えているGatsbyは、むしろ時代の流れに逆行する存在であった。
    この3つの点から見ると、 Gatsbyはどこまでも過去にしがみつき「終わり」を認めない男である。彼は、人間にはどうすることもできない時の流れにどうしても抗おうとする。時代に合わない彼に残されていたのは滅びの道だった。
    There was a faint, barely perceptible movement of the water as the fres...

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